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似の都市ではどのようにその点を扱っているか、といういろいろなことを調査しながら自分の考え方を固めていって、これを結果として出す、というやり方をするので、裁判官的な動き、特に民事裁判ににかなり近いなあ(私は民事裁判を40年間やってきたので)というように感じた。振り返ってみると、スウェーデンのオンブズマンもやはり元裁判官がなっている例が多い、それ以外の国でもそのような実態が見受けられるわけであるが、事実を探究する(探り出す)能力にも繋がるし、双方から聞いてそのバランスをどこに求めるかといういわゆるバランス感覚というようなものも、裁判的な要素に近いかなあという感じは持った。

調査の方法であるが、関係機関の調査は、今申し上げたように、苦情の内容を聞いてそれに従って調査項目を自分で幾つか作って行うわけであるが、ここで専門調査員について説明しておくと、専門調査員は、オンブズマンのアシスタントであって、オンブズマン1人に2人ずつ付いていて合計6人いる。専門調査員は、民間の人というか役所に勤めた経験のない人、具体的には、大学の政治学や法律学のドクターコース(大学院)を終えた人あるいはそういう経歴の人を市から各大学に依頼して適任者を推薦していただき、任命している。専門調査員は行政経験がないので、行政にとらわれるということがない純粋な発想のできる若者である。また、彼らにとっても、行政の実務にいろいろな面でタッチするというメリットもあるようで、大学からも喜んで優秀な人を送っていただいていて、非常にありがたいと思っている。

オンブズマンも専門調査員も、身分上は非常勤の地方公務員ということになろうかと思う。そういったスタッフの勤務する事務局は、市役所の本庁から少し離した所に設けられている。これは、苦情の対象になる市の部局あるいはその職員とあまり近くないほうが市民のほうも入りやすい、いろいろものを言いやすいといったようなことも配慮して少し離れた所に事務局を独立して設けているが、その事務局の職員(これは、われわれオンブズマンや専門調査員を補佐する事務的な庶務的な事項を扱う人であるが)は、苦情の内容及びその調査の内容には一切関与しない。事務局長も同様である。ただ、こちらから調査に入る前に「この苦情については関係する市の局はどこだろうか」とか「どういう人が適任だろうか」というような情報を得たいことがある。そういう時にこの職員を活用すると非常にやりいいという面でありがたいものである。市長が任命した事務局の一般職の職員が同じ部屋で仕事をしているということによって、オンブズマンの調査に口を差し挟むとか、独立性が損なわれるとかいうようなことは一切ない。十分その点はわきまえた上で事務局に配置されているというように私どもは見ている。

そのオンブズマンと専門調査員が一緒になってヒアリングのメモを作って、これを事前にその苦情に関係のある市の部局に送っておき、日を決めて来てもらってヒアリングをするわけである。かなり詳しい内容について時間をかけてヒアリングをする。市民から申し出られたこと以外に、それに付随してオンブズマンの方で気付いた点あるいは市民から聞き出した点、すなわち、市民の言うことだけではなくて、「そういうことをするとこういう事実がないか」というようなことで、いろいろ誘導をして私どもの方から多角的な苦情にしてもらうが、その多角化した苦情に基づいて、市の担当者に対してヒアリングを行うわけである。市の担当者はこのヒアリングのためにオンブズマン事務局に出てくることに非常に緊張しているという話を聞いたことがあるが、別に尋問するような口調で尋ねるわけではないが、やはり「何かまだありそうだ」と思えば遠慮なく追求するので、その辺はいやなところかもしれない。

 

 

 

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